現在受講中の生徒さんのレッスン事例を、具体的に紹介。
一人目。まだ学生さんですが、昨年某有名服飾系学校のビジネスクラスを受講したが、「服を作る方」をやりたくなったので、と当方に見学に来た方です。
今現在デザイナーになりたいとか目的が絞られているでもなく、全体に物づくりそのもの、にご興味をもたれている様子。聞けば家族や友人関係は皆サラリーマン家庭で、製造現場というものを生活の周辺で見る機会が全くない環境だそうです。
では、まずは難易度の低い作業を中心に「服を作る」ということを、一回やってみるのがいいのでは?と考えました。理論を先にやっても頭に入らないので、作業途中で説明していくというやりかたです。
よくある洋裁の型紙付本を利用してもいいのですが、男性ということもあって好みのデザインを探すのも手間取りそう。そこで、つい先日作ったばかりの「新サンプル服」を元型にして型紙修正し、一枚縫って勉強するところからスタートということにしました。
今回参考にするサンプル服はこちら
とにかくこの服を実際に羽織ってみます。
男性が着ると肩幅があるせいか、又シルエットが全く違った感じになりますね(袖丈が、短くなる)。
全体に袖幅と袖丈を足し、着丈は短くすることを決定(メモをとる)。
次に、元型(紙に描かれたパターン)を参考修正して、自分のオリジナル服パターンを作成する作業をします。
洋服の型紙は、白の製図用紙を使用します(洋裁材料店にて販売・洋裁教室コモノでも@50円にて販売)。すでにある元型を下にして重ね、まずは服の出来上がり線を鉛筆でトレース。
ここに上記のサンプル試着時の増減データを足し引きしていきます。ここは生徒さんには無理な作業なので、講師が目の前で製図していきます。一応、製図上の「決まりごと」というのはあります。服そのものを縫ったことが無い初心者さんだと、多分意味が分からないでしょうが、説明しつつ作図。
洋裁教室コモノでは、洋服の型(服パターン)は縫い代付で作成します。要するに「裁断型」を作ります。何故か?
単純に、裁断の時に間違えるから。
今現在の中学校などの家庭科でどうしているか知りませんが、私が学生時代(文化服装学院含む)は、何故か型紙は服出来上がりを作成する製図(パターンメイキング)でした。
そこに一々縫い代を裁断時つけるのですが、これが間違えやすい。実際に、裁断鋏は使いこなすのが凄く難しく、切る時に2~3mm誤差を生んでしまうこともしばしば。 この失敗を防ぐ為に当方では、型紙は縫い代付で作成して、鋏ではなく円カッターで裁断します。
写真は、身頃の肩先の部分の縫い代の製図作業途中の写真です。肩の縫い代(出来上がり線に平行線を引く)と、袖側の縫い代の延長線上を結んで引いていきます)。
洋裁のキモは、型制作(パターンメイキング)と裁断。縫製は、数をこなせば誰でも上手くなります。
精緻に型制作しても、裁断時に失敗してしまったら意味が無い。 そこで、失敗のリスクが少ない手法を取っています。
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